出船風景~昭和の想い出~
昭和の海をうたう
見送りの 出船風景 胸騒ぐ 若き日の海 傘寿越えても
見送りの出船風景(でふねふうけい)胸騒ぐ(むねさわぐ)若き日の海 傘寿(さんじゅ)越えても
漁に出る船を、家族や親戚、友人、港の人たち、みんなで見送ります。
磨さんはいつも船の上で見送られる側でしたが、八十歳を越えた今、どんな思いで見ているのでしょう。
【子供の頃のお見送り風景(娘側)】
船と繋がった色とりどりの紙テープ。
紙テープの中心に両側から人差し指を入れて持ったり、子供たちは摩擦でケガをしないように、棒やペンに紙テープを2~3個通して持ったりします。
船はゆっくりと動き出し、紙テープはものすごい勢いでクルクルと回りだして、
磨さんたちが、船の上からこちらに向かって手を振ります。
『お父さ~~~ん!!』『いってらっしゃ~い!!』
『気をつけてね~~!!』
『お魚いっぱいとってきてね~!!!』
大きく汽笛が鳴ると、船は大漁旗と紙テープをなびかせ、煌びやかに出航する姿を見せてくれます。
手元の紙テープは最後まで回り続け、そして芯だけになると、
船はどんどん港から遠く離れ、磨さんたちの姿も見えなくなり、
最後に小さく見える船に向かって『お父さ~~~ん!!!』と大きく手を振ると、
船の汽笛が分かったかのように『ボォ~~~~~~~~~~~』と鳴り、
まるで『いってくるね~』と応えてくれたみたいで、嬉しくなった想い出があります。