帰り来ぬ士の御霊かな~黄砂~
日常をうたう
黄砂来て 帰り来ぬ士の 御霊かな
黄砂(こうさ)来て帰り来ぬ(きぬ)士(し)の御霊(みたま)かな


母方の祖父は、母が2歳の時にビルマの地で戦死しました。
たった一人の娘を残し、
今も異国の地に眠ったままです。
母は絵を描くのが上手で、
似顔絵師さんが描いた父親の遺影を見ながら、
亡き父の顔を描き、部屋に飾っていました。
似顔絵師さんが描いた絵は写真のように白黒でしたが、
母が描いた絵は、背景がレモン色で明るく、
まるでこちらを優しく見守っているようでした。
亡き父を想い、
ずっと寂しい思いをしてきた妻へ
遠い国から御霊が黄砂となり、
愛しい人に逢いに来ているのかもしれないと、
磨さんは詠みました。
母が描いた九頭馬の絵

